ここ数年、京大の「おもろチャレンジ」のおかげもあって海外での活動が増えています。特に大きなプロジェクトとして「パプアニューギニア」と「トンガ」に遠征隊を派遣しましたが、もちろんそれ以外にも数多くの海外活動をしています。ここでいくつか概略を紹介しますが、詳細は部報などをご覧ください。
・渡航期間
事前調査 2018年3月13日~3月22日
本調査 2019年2月6日~4月5日
・計画概要
以下「京大チャレンジコンテスト(SPEC)2018」ホームページより抜粋します。
" パプアニューギニアは「石器時代にいちばん近い国」と呼ばれています。内陸部には、西欧的近代文明とのファーストコンタクトを果たすたった60年ほど前まで、金属のない社会を営んでいる場所も数多くありました。
また、言語や慣習などが異なる集団(ワントク≒民族)の数が極端に多く、 ニューギニア島内だけで750以上も存在しています。 そのため、調査資料のない地域の文化や生活状況などはまったくわからないというのが現状です。
今回の対象地、パプアニューギニア南部の低地内陸地域は、 そんなニューギニアの中でもっとも調査の遅れているエリアの一つです。主にマラリアのリスク、人口の希薄さに伴う移動の困難さに阻まれて、 ヘリコプターなどを使った少数で短期の生物学調査を除き、学術調査がほぼ行われていないと言われています。 つまり、彼らが何を考えどういった生活を行っているのか、彼ら自身を除いて誰も知りません。
さらに、上流の銅山による公害の影響を大きく受けているエリアでもあり、今探索しなければ、その公害によって彼らの情報が永遠に失われてしまう可能性があります。環境・文化・生活・経済面での彼らの現状をできるだけ明らかにすることが活動目標です。"
全文はこちらから。
・成果報告
西部州の中心都市であるキウンガから、モーター舟にてフライ川を計1000km程度移動し、道中に点在する村々にそれぞれ約1週間ずつ泊まり込んで活動しました。
実際に渡航してみると、生活様式等の基本情報のみならず、強引な国境線策定が生み出した難民問題、インドネシア国境警備兵による襲撃事件、国際的なマフィア組織が関わる銃と麻薬の密輸交易の実態などといった、当エリアにおける表面化していない諸問題についても新たな見地を得ることができました。
この渡航の成果については、ご支援いただいたモンベルの会員誌「OUTWARD」の84号、情報収集や現地との連絡でお世話になった日本パプアニューギニア協会の協会紙「ごくらくちょう」の64号に掲載していただきました。
・活動期間
2018年2月5日~3月29日
・計画概要
21世紀の今、時代背景が変化していき「探検部」が形骸化していく中で、それでも我々が「探検部」としての存在意義をもって行える活動の一つの選択肢として提案された計画。
「研究者や、その卵としての大学院生、ではなく“学部生”の行う学術調査の意義」すなわち
1、「研究者」という立場では行えない“調査”が「学生」という身分のため行える、ということがある(例えば、「研究者」に対しては語られ難いような人々の感情の聞き取りや、研究者としては許可申請上難しい「調査」の実施など)
2、研究者を目指す人間が、進路を確定する前にさまざまな分野、フィールドの「調査」に足を突っ込むことができる(私的な意味ではあるが学問分野の「探検」)
3、分野共同で行われる広域研究の調査隊(=「学術探検隊」)の形式を模した部隊を学部生が形成し、実地に赴くことは、個々人の学問形成に大いに役立つ
4、自発的な「調査」の計画→実行のプロセス、組織立ち上げの経験
といった大義のもと渡航隊を形成し、研究会や寄付金集めを行い、トンガに遠征を行いました。
渡航メンバーの専門は人類学、鳥類学、農学、考古学、地質学など多岐にわたります。具体的な調査方針として
「トンガにおける贈与/分配/所有を人類学的に考察する」
「抱卵をせず、火山の地熱や腐葉の発酵熱、太陽熱を利用するツカツクリの生態を調査する」
「"日曜日にウム料理を食べる"という慣習の地域差を調べる」
「"カヴァ"という植物の酩酊作用や鎮静作用を調べる」
「1,500年前に土器作りの途絶えたトンガにて、人面文を特徴とする"ラピタ土器"やピラミッド型の王の墓である"ランギ"などを調査する」
「トンガ各島の地質について個別に詳しく書かれた論文が少なく、特に岩脈など小規模な構造について調査する」
などを各自で挙げ、それぞれのテーマに基づいた現地調査を行いました。
・成果報告
上記日程の通り調査渡航を行いました。詳細な調査報告書についてはもうしばらくお待ちください。