この前、京都発着で歩いて琵琶湖を一周してみた。
「お、それ僕もやろうとしてる」
なんて奇特な人は少ないだろうが、
「へー、こんな人もおんねんな」
程度の感想は保証するので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
予定
出発時に考えていた大まかな予定としては
長浜の快活クラブまでの80kmを2日で歩く。
3日目に湖北の峠を突破して高島までたどり着けるか?
4日目に夜まで粘って京都までたどり着けるか?
5日目は予備日としているが、夕方から大事な用事があるので昼までには絶対に帰る。
という感じ。出発の数日前まで大雨の予報が出ていてヒヤヒヤしていたが、なんとか小雨に落ち着きそうだったので決行した。
目的
これまでに50km程度の距離を単発で歩いたことは何回かあるが、そのレベルの距離を連続で歩いたことはない。よって長距離を連続で歩き続けられるような歩行技術と装備、効率よく回復するためのマッサージ方法や栄養の摂取方法を研究する。
そもそも徒歩ビワイチ自体は、1回生のときにNF休暇のプランBとして企画したのが最初であった。そのときは結局プランAの白山に登りに行ったんだが、それ以降ズルズルと徒歩ビワイチの構想を引きずってきて、ついに学生生活も残すところ1年となり、このタイミングを逃すと次がなさそうだったので実行したわけである。
装備一覧
テント(フライなし。軽量化のためペグは含めず)
エアマット
シュラフ(Comf13℃、Lim10℃)
エマージェンシーシート
雨具上下
ProtectS1
テーピングテープ(5cm×5mのものを60cmの長さで8本に切っておいた)
スマートフォン
充電コード
モバイルバッテリー(単3電池を4本使用するもの)
懐中電灯としての自転車用ライト(単3電池を3本使用するもの)
単3電池4本
財布(硬貨含む)
帽子
ネックウォーマー
フリース
ズボン
下着(軽量化のため着替えはなし)
ランニングシューズ
サンダル
歯ブラシ
水750ml
グリーンダカラ600ml
食料(パン、ドーナツ、板チョコ、梅干し、羊羹、氷砂糖など)
ボールペンとメモ用紙
総重量7.75kg
その後、水分と食料を消費して6.5kg程度になった
Day-5
徒歩ビワイチの5日前に、準備というか練習というか訓練としてほぼ同じ装備で大阪から京都まで歩いてみた。
30kmほど歩くとどうしても足の裏にマメができてしまうんだが、帰宅してから調べてみると、なにやらワセリン的なものを塗ることで足裏がつるつるに強化されてマメができにくくなるらしい。さっそくProtectS1というのをアマゾンで購入した。それからふくらはぎのテーピングがすね毛で浮き上がってきてしまうので全部剃ることにした。
Day1
<11℃~22℃、くもりのち晴れ>
5:30 部屋のなかで落ちてはいけないものが落ちたような物音がして跳ね起きたんだが、ベランダでカラスが暴れているだけだった。第一朝ごはん【フルグラ、ココナッツミルク、コーンスープ】
6:45 ProtectS1を塗ってテーピングをしてから出発
7:30 山科にて小休止。お腹が空いていないので第二朝ごはんは省略
8:40 タムラマロ通過
10:00~10:15 大津にある行きつけの浜辺にて小休止。ProtectS1塗りなおし
11:15 草津にて小休止。第一昼ごはん【ネオロール】
12:10~12:40 42号線に入ったところで大休止。授業は聞いていなかったがレジュメを確認しながら2限の小レポートを提出した。ちなみに1限はオンデマンド、3限は期末に課題さえ出せば単位がもらえそう、4限は取ったはいいが興味がなかったのでいずれ取り消す、5限はもともと休講、なので今日は2限だけである。ProtectS1塗りなおし
13:35~14:00 駒井沢にてふたたび大休止。第二昼ごはん【巻寿司、納豆巻き】
14:40 小休止。ProtectS1塗りなおし
18:30 大雨につき行動を終了して幕営。まだ公園内を走れるくらいの体力が残っているが、左足にマメが2つできていた。1つは京阪遠足のときのものが再発したようである。晩ごはん【羊羹、ドーナツ、コーヒーゼリー】
19:30 寝る
Day2
<10℃~23℃、曇りときどき雨>
4:45 起きた。寒かった。前日のログをアップしようにも電波が悪く、あちこち歩き回っていると水たまりで靴下が水没してしまった。第一朝ごはん【ドーナツ】
5:40 ProtectS1とテーピングを済ませて出発
8:00 小休止。第二朝ごはん【クリームパン】
9:30 よさげな公園を見つけたので軽めに遊んでおく。ProtectS1塗りなおし
11:20 彦根にて小休止。ProtectS1塗りなおし
12:00~13:15 イオンにて大休止。さっき立ち寄ったローソンでは靴下が一足400円で売られていて、さすがに高くて諦めていたんだが、ここでは3足300円で売っていた。かかと部分の高さが足りていないので靴擦れしそうだったが、明日も雨らしいので使い捨てのつもりで買った。第一昼ごはん【焼きそば、巻寿司、豆腐】。ここでゲットした爪楊枝でマメを潰してトイレットペーパーとテーピングテープで保護した。よい子はマネしないでね。
14:45 突然のみぞれ
16:45 長浜の快活クラブに到着。完全個室の記憶があったがそれは彦根の快活クラブのほうで、こっちは壁が天井まで届いていないタイプだった。シャワーを浴びてから晩ごはん【巻寿司、納豆、梅干し、豆腐】。周りのブースに納豆が苦手な人がいたら申し訳ないなと思いながら食べた。
19:00 寝る
Day3
<9~19℃、雨のち晴れ>
4:40 起きた。今日は文字通りの山場なので朝早く3時くらいに起きようか、それとも逆に6時くらいまで寝てしっかり回復しようかと迷っていたが、結局その中間くらいにした。第一朝ごはん【豆腐】
5:10 ProtectS1とテーピングを済ませて出発
8:15~8:30 こんな時間から開いているイオンがあったので第二朝ごはん【焼きそば、助六、梅干し、杏仁豆腐ゼリー、葛根湯】
9:00 木ノ本の8号線T字路、すなわち琵琶湖の折り返し地点を通過
9:30 最初のトンネルの前にて小休止。ProtectS1塗りなおし
11:10 3つ目のトンネルに到着。なお峠の登りでは「なんば歩き」っていう日本古来の歩き方をしていた。これは右手と右足、左手と左足をそれぞれ同じタイミングで出すもので、全身を脱力させながら歩けるので体力の消耗と体温の上昇を防げる。峠の下りでは雨が降っていたこともあって普通に走った。
12:00~12:20 4つ目のトンネルを抜けたが大雨なのでそのままトンネル内で小休止。しばらく待つも止む気配がなく、近くに建物らしい建物もまったくないので、ふもとまでできるだけ走った。雨具は着ていたが靴の浸水は避けられないし、靴が浸水するとマメができやすくなるし、まったく雨は害悪である。
13:20~14:30 ふもとのセブンイレブンにて大休止。第一昼ごはん【おにぎり、かにかま、イチゴゼリー、葛根湯】。店の外のギリギリ雨が当たらない場所にベンチがあったので雨宿りがてら寝ていたが、いつになっても雨が止みそうにないので出発。
16:40~17:40 雨が止みそうな気配があったので近江今津にて大休止。晩ごはんも兼ねての第二昼ごはん【稲荷ずし、梅干し、ポテトチップス】。雨に濡れた日はポテチを食べるというのが慣習になりつつある。
20:30 行動終了、湖岸緑地にて幕営。雨はほぼ止んだが水たまりがあちこちにあって、なんとか乾いた場所を探してテントを張った。
22:00 寝る。夜にまた雨が降った。
Day4
<9~21℃、晴れ>
5:00 起きた。寒かったが晴れているので許す。第一朝ごはん【黒糖ネオロール】
6:00 ProtectS1とテーピングを済ませて出発
7:35~7:45 北小松にて小休止。ProtectS1塗りなおし
8:30 近江舞子を通過。帽子をかぶらずに坊主頭で歩いていたら、練習試合の相手コーチとでも思ったのか高校球児らしき少年たちから挨拶をされた。そういえば僕が高校生のときも4月や5月に坊主で登校すると野球部の新入りからよく挨拶をされたものだが、たぶんそれと同じことである。慣れたものでそれっぽく挨拶を返しておいた。
10:40~11:10 和邇にて大休止。第一昼ごはん【助六、みたらし団子、みかんゼリー】
12:00 堅田を通過。人と信号がやたら多くなってきてペースが狂う
13:00~13:15 雄琴にて小休止
14:15~14:30 坂本にて小休止。ProtectS1塗りなおし
15:45 浜大津に到着。第二昼ごはん【おにぎり、エナジードリンク】
17:00 タムラマロ通過
18:30 寮に帰着。出発が6:20か6:30だったような記憶があったのでなんとか急いで18:30に到着したんだが、メモを見ると5:30って書いてあって脱力した。ということで徒歩ビワイチのタイムは3日と13時間、もしくは85時間であった。
Day+6
徒歩ビワイチの2日後にはもう完全に回復していて、6日後に自転車によるビワイチをした。たぶん記念すべき10周目、もしくは数え間違えていて11周目であった。あとでも述べるが、徒歩ビワイチと普通のビワイチは負荷がかかる部位が違うので単純な比較はできないことが分かった。
考察
徒歩での移動だと、制限因子が心肺機能や筋肉のエネルギー交換ではなくマメや関節の痛みといった足回りのトラブルになってしまう。そのため例えばサイクリングだと第三昼ごはん、雪中泊だと夜食を補給するところが、徒歩ビワイチでは1日あたり4~5食で済んでしまった。しかも1回ごとの摂取カロリーも少なかった。今回はトレッキングポールを使用しなかったが、もし使っていたら足回りのトラブルが軽減し、もっと多くのカロリーを消費することができ、それにより移動速度を上げられたのではないか。
道はビワイチ用としてかなり整備されているが、ほぼ全行程が舗装路であった。そのため特に最終日の4日目には足首、膝、腰に痛みを感じた。200km程度なら耐えればなんとかなるが、これが300kmや400kmとかになってくるとどこかの関節が故障してしまうだろう。それからおそらく、「行動時間を有効睡眠時間で除した比」みたいなものが重要になってくる。「有効睡眠」とはレム睡眠ではなく、寒さや空腹に震えることなく目をつむって足を伸ばして地面に横たわっている状態である。例えば8時間行動して8時間を睡眠に使う場合、比は1.0になる。これが12時間行動の6時間睡眠になると比は2.0になる。人によって、行動の強度によって、それから気温や天気によってこの最適比および限界比は変わり、今回だと最適比は1.2、限界比は1.5前後だったかなと思う。1日目や2日目は比が1をちょっと超えるぐらいだったが、3日目はまさに12時間行動の6時間睡眠だったので比が2.0に達しており、体の回復が追いついていなかった。この比はもうちょっと厳密に定式化したほうがよさそうだけど面倒なのでやめる。
野宿について、かつてヨーロッパを自転車で移動していたときは野犬の群れに囲まれたり地雷がありそうだったりスラムっぽかったりでヒヤヒヤしていたが、今回は日本なのでその点は安心だった。しかし気温が10℃程度であり、持っていた装備では快適な睡眠は得られなかった。エマージェンシーシートは断熱性こそ高いが汗を透過してくれないので微妙である。エアマットは軽量化のため直前まで持っていくつもりがなくて、どこかのスーパーで段ボールでも調達すればいいかと思っていたが、それはさすがに甘かったと思う。シュラフもグレードアップしたいところだが、今後使う予定があまりないのでどうしようか。
装備についてはほかにもあって、例えば電池は重たかったので軽量化すべきだった。夜間の行動はしないのでヘッドライトや懐中電灯はほぼ不要であり、トンネル用として代わりにちっちゃいライトを持っていけばよかった。サンダルも必須ではなかった。梅干しは今回はあまり活躍しなかったが、もし気温が30℃とかまで上がっていたら重宝したことだろう。ただそれも必要になってからどっかで買えばよかった。
日数について。今回は50+40+65+55の4日間210kmという行程だったわけだが、徒歩ビワイチの標準コースタイムとしては5日か6日といったところだろうか。5日間だとすると毎日40kmの最終日だけ50km、6日間だとすると毎日35km程度の距離になる。ただし景色とか食事とかを大事にしたいなら距離はもっと伸びる。
それから理想としては90分ほど歩いたら小休止、昼になったら大休止と思っていたが、休憩スポットがなかなか見つからないので苦労した。僕は堂々とそのへんの歩道とか店の階段とかに座り込んでマッサージをしながら飲み食いできる人間だが、そうじゃないと休憩のタイミングを逃すことになる。テントを張れる場所なんてもっと限られてくるので、泊数が増えるのもそれはそれで体力を消耗するだろう。たぶん四国のお遍路とかだったらその辺がラク。
まとめ動画
なんか完成度低めですが動画にしてみたのでよかったらどうぞ。
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4日間右足が無傷だったのはこいつのお陰だったと思う。
「3~4時間おきに塗り直してください」と書いてあるが、僕はもうちょっと塗った。
キャップのネジ部分がやや緩みやすいのが難点だが、せっかくなのでここで宣伝しておく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。